動物当番に来た年長組の子ども達が、イチョウの木の下で準備をしていた時のこと。
A児「あ!ギンナンだ」
A児の指差すその先を、あとの5人と教師とで、じぃっと目を細めて見ると…
「ほんまや!」
「あ、こっちにもある!」
「ここにも!」
大きな銀杏の木から、小さなギンナンに、いったん目が向くと、
もう子ども達の目には、次から次へとギンナンが飛び込んできます。
「先生、見て。ここにはギンナンがいーっぱい」
「ほんと。いーっぱいだ」
するとA児は、顔をしかめ苦笑いをしながら
「今年はくっさいな~」
とつぶやきました。
秋になると、今はまだ青々としたギンナンも黄色くなり、ぽとりぽとりと落ちてきます。
その頃には毎朝、園庭一面を覆いつくすほどのギンナンが、その独特の香りと共に
登園する子ども達を迎えるようになります。
A児のつぶやきは、3歳児の頃から、そのギンナンと共に過ごしてきたからこそ出てくる、つぶやきなのだろうなぁと感じました。季節によって姿を変えていく大銀杏に、またこの季節がやってきた、と私達は感じます。しかし、子ども達にとって、ギンナンに対する感覚や思いは、その年にしか味わえないものなのだろうなぁと思いました。