着ている服が肌に貼り付くようなじめじめとした気候の中、少しでも“涼”を感じるために、個人持ちのうちわを用意しました。「はぁ~涼しいな~」と自分で扇いだり、「どう?涼しい?」と友達に風を送り合ったりする姿が見られます。風に吹かれると涼しくなることはもちろんみんな知っていることです。、そして、自然の風だけでなく、風をうちわというものを使うと自分で起こすことができる、ということも、誰からも教えられたことではありませんが、生活の中で自ずと身に付けた知恵なのでしょう。その白いうちわに、より親しみが感じられるよう、マーブリング(墨流し)という技法を使って模様に染めました。
マーブリングも今日で3日目。初日に自分のうちわを染め終えた子どもたち(A子、B子、C子)が「先生、今日もするの?」と興味津々でやってきます。まだしていない子どもと一緒に場を準備し、一つずつ工程を説明しながら活動しよう、と思っていたのですが…
A子「まだ(マーブリング)やってない人って誰?」
B子「(うちわに書いてある出席番号を見て)○○くん、まだやから呼んでくる!」
※D男がやってくる
C子「いらっしゃいませ~、こちらへどうぞ」
A子「まず、水の上に丸い紙を5枚置きます」
B子「次にな、紙の上に絵の具をぽちょんって垂らすねん」
A、B、C子「ゆっくりやで、ゆっくり…」
D男「こう?」
B子「いい感じよ…」
※絵の具を紙の上に垂らした瞬間、絵の具が水面にパッと広がる
D男「うわぁ…なんかすごいな」と同時に、この瞬間を待っていたかのようにA、B、C子「キャ~、きれい♡」
A子「そしてな、割りばしでス~っとするねん、かき混ぜるんちゃうで、ス~やで」
B子「混ぜすぎたらちょっと汚い色になるねん」
C子「ゆっくりね…」
※A、B、C子はD男がしている姿を見守ったり、「こうしたらいいねん」と見本を見せたりしている
C子「最後にうちわを水に入れるねん、ここもゆっくりやで…」
A子「ここ、一番大事…」
※うちわに模様が浮かび上がる
D男「え~!くねくねしてる」と同時に、A、B、C子「キャ~、すてき♡」
C子「はい、○○くん(D男)のクリップ。これに挟んで乾かしてね」
教師の説明を入れる間もなく、子どもたちが教え合っていました。会話の中で何度も「ゆっくり」という言葉が出てきているのは、きっとうちわ染めをした初日に、教師がマーブリングの中でポイントになるところを一生懸命伝えていて、それをA子たち自身がやってみて実感したからこそだと思います。また、A子たちは、マーブリングの不思議さや面白さ、美しさを体感しているからこそ、何度もその場を訪れ、心が動く瞬間をみんなで体験しているのだと感じました。
マーブリングで染めた後のうちわであおぐと、より涼しさが感じられるのではないでしょうか☺