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動物当番

今週から、動物当番を始めました。

毎日、当番の子ども達が朝の身支度後に誘い合って、園庭にある動物小屋に出発。

「何持ってきた?」「僕はニンジン」「私はキャベツ」「レタスとキャベツって似てるけど違うよね~」などと

言いながら、家庭から持ってきた野菜を出して、チャボやウコッケイ達が食べやすい大きさに細かく刻みます。

本物の包丁を見て

「僕はやらない!手が切れる!」

と怖がる子どもには、教師が手を添えながら一緒にやってみました。

「野菜を支える手は猫の手ね」

コツを伝え見守ると、野菜を何枚も切るうちに、すっかり包丁の扱いにも慣れてきました。

 

時折、動物小屋からの「コケコッコー!」の声に

「なんて言ってるの?」

「『お腹す~いた~』って言ってるよ」

「え~?!」

と笑い合いながら…。

動物小屋の餌入れに、切った野菜を入れるまでが、なかなかの試練でした。

おなかを空かして待っていたチャボ達がバサバサと羽根を広げると

「怖い、怖い」

「〇〇ちゃん、先に行って」

「押さないで!」

と大混乱。でも、「こうやって抱っこしたら、ほら仲良し」と教師がやって見せると

「ちょっとやってみる」

「次は僕」

「触れた!」

と安堵と嬉しさの表情でした。

「あ、カメもいるの?」

「水に入っていくよ」

「おーい」

隣りの部屋のカメにもご飯をやってすっかり仲良し。

最後に、小屋の奥の部屋を覗いてみると

「あ、卵!」

今日も、親鶏が卵を産んだけれど温める様子があまり見られず、そのまま置いておくなら、自分達が大事にいただくというのも、卵の命を大事にしていることになるよね、と当番の子ども達と話しました。すると、

「持って帰りたい!」

「私も!」

「僕も!」

さて卵会議が始まりました。誰が持って帰るかを、どう決めるか…。

A児「持って帰って、卵を温めたい」

B児「私も温めたい」

A児「じゃんけんは私すぐ負けちゃう」

C児「友達と遊ぶ約束してるから、僕はもういいわ」

その後、友達も興味をもってやってきて、しばらく話し合いが続きました。

 

教師「そういえば、少し前に産まれた卵がもうひとつあったなぁ」

A児「え?ほんと?!」

そう言って、冷蔵庫から卵を取り出して見せました。

教師「ただね、卵は2つになったけれど、こっちの卵は一度冷たくなってるから、温めてもヒヨコは出てこないと思うなぁ。お料理しておいしくいただくんだったら、持って帰れるんだけど…」

それを聞いて、二人ともやっぱり卵を温めたい思いがあるようで、今日の卵がいいようでした。すると、通りがかったD先生が

「それか、また次の当番の時に、温かい卵をもらうっていう方法もあるよ」

と声をかけてくださいました。D先生の言葉は、今までのやりとりを聞いていて、まだ始まったばかりの動物当番、初めて手にした卵への子ども達の思いを、『今』の時期は、なんとか二人が納得する形で終えられないかという思いからの投げかけでした。するとそれを聞いて、首をかしげて考えたB児が

B児「うーん…私、明日にする」

それを聞いたA児も、驚いてB児の顔を覗き込むように、そして確かめるように

A児「え!いいの?ほんとにいいの?」

教師「なんで明日にしようと思ったの?」

B児「だって……難しいから」

よく聞くと、卵を温める方法が難しいと感じ、もっと考えてから持って帰りたいと思い直した、ということでした。

 

動物当番を通して、子ども達は本当にいろいろに心を揺らしています。その姿を見て私達も…。