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ちから君は友達

 4歳児では、ウサギの”ちから”君が仲間にいます。子どもたちはちから君が大好きで、毎日「ちから君、おはよう」と話しかけたり、ごはんをあげたり、中積木でちから君のお家を作ったりしています。しかし、どんなに素敵なお家をつくって「ちから君出ておいでー」と声をかけても、ちから君は出てきたことはありません。人間がたくさんいると警戒するのか、自分のケージの中でじっと子どもたちを見つめていました。

 今日も、子どもたちはちから君のお家をつくり始めました。中積木を間隔を空けて2つ並べ、薄い板を上に置き橋のようなものを作り、「ここは歩くところ」と、ちから君が出てきてくれることを楽しみにしていました。1人の子どもが「(人が)いっぱいだと出てこないよ」と言うと、子どもたちは少し離れてちから君を見守ります。すると、ついにちから君が出てきました!「ちから君がお家に入らはった!」と子どもたちは大喜び!「(ちから君、お家が)気に入らはったんかなー?」と、ちから君の思いに寄り添っていました。

 あまりの嬉しさに、つい、ちから君をぎゅーっと捕まえたくなる子どももいました。「それはちから君痛いかも?」と教師が言うと、子どもたちは理解して、ちから君が痛くないように力を加減しています。ちから君が通りそうなところは、道を空けて見守り、最後はちから君が迷子にならないように、ケージに戻るまでを見届けていました。

 子どもたちにとって、ちから君は『ペット』ではなく、『友達』です。生き物の思いに寄り添い、生き物とどう接すればよいかを、日々の体験から学んでいます。そんな子どもたちを見ていて、きっと、ちから君も『友達』と思ってくれたから出てきてくれたのかもしれませんね。